はじめに|犬の無駄吠えは訓練所では解決しない
犬が吠えるのに困って、「訓練所に預ければなんとかなる」と思う飼い主は多い。実際、しつけ教室や訓練所を検討するのは間違いではないし、プロの手を借りることで改善するケースもある。でも、訓練所に頼っただけでは、吠え癖は解決しない。
訓練所でのしつけは、基本的には短期間でのトレーニング。確かに、訓練士の手にかかれば、犬は「その場」では指示に従うようになる。でも、家に帰ると飼い主の言うことを聞かなくなることが多い。それは、飼い主が適切なしつけを継続しない限り、犬が学習を維持できないから。
特に、**ヤンチャ盛りの犬や分離不安がある犬は、飼い主の接し方で大きく変わる。**犬が吠えやすい原因を理解し、しつけの基本を身につけ、日常生活の中でどう接するかを意識することが何よりも大切だ。
犬が吠える理由|警戒・要求・ストレス・興奮が原因
犬が吠えるといっても、実はその「吠え」にはいろんな感情が隠れている。
「吠えたら叱る」ではなく、まずは犬がどんな気持ちで吠えているのかを観察できていますか?
例えば、同じ吠えでも 「歓迎」 の場合もあれば 「威嚇」 の場合もある。
大抵のケースでは、お出迎えの意味で吠えていることが多い。ところが、飼い主が「ダメ!」と制止するとどうなるか?
実は犬にとって、その制止の声は 「一緒に盛り上がっている合図(お祭り)」 になってしまう。犬には人間の言葉は通じない。だから、「ダメ!」と声をかけても、「お、飼い主も一緒に歓迎してる!」 と思われることがある。
もし威嚇で吠えている場合、それは「この家を守らないと!」という気持ちからくるもの。つまり、犬は 「家族を守ることを期待されている」と思っている。その状況で飼い主が「ダメ!」と声をかけると、どう響くか?
実は、犬はそれを 「応援」と捉えてしまうことがある。
「よし!もっと吠えろ!家を守るんだ!」と勘違いしてしまうわけだ。
だから、吠えている最中に声をかけるのは逆効果。興奮を助長するだけになる。
結局のところ、普段から犬が「自分の立ち位置」をどう感じているかが問題になる。
もしかして、家族に対する犬の立場が変わったのでは?
普段から飼い主が「どういうスタンスでいてほしいか」を犬に伝えていないと、吠えたときに指示が伝わらない。
「じゃあ、どうやって伝えればいいのか?」 という話は少し長くなるので、また別の機会にじっくり話したい。
記事のポイント
- 1. 警戒して吠える
- 2. 要求吠え(遊びたい・構ってほしい)
- 3. ストレス・不安で吠える
- 4. 興奮・発情期による吠え
1. 警戒して吠える
「ゴールデンは番犬に向かない」と言われるけど、実際には個体差がある。特に、夜に物音や人の声が聞こえると吠えるのは、防衛本能によるもの。
2. 要求吠え(遊びたい・構ってほしい)
「飼い主がいなくなると吠える」「柵を飛び越えようとする」「いたずらをする」……。こういう行動は、飼い主の気を引きたくてやっていることが多い。
3. ストレス・不安で吠える
飼い主がいなくなると吠えたり、いたずらしたりするのは、「飼い主がいなくて不安」だから。特に、分離不安の犬は、ストレスが強いと延々と吠え続ける。
4. 興奮・発情期による吠え
発情期の犬はホルモンの影響で興奮しやすい。だから、いたずらや噛みつきも増える。去勢すると落ち着くことはあるが、しつけや環境の調整も必要になる。
訓練所は万能じゃない|訓練所の役割と限界
「訓練所に預けたら吠え癖がなくなる」と思ってるなら、それはちょっと違う。訓練所には訓練所の役割があるけど、完璧ではない。
訓練所でやること
訓練所では、基本的なしつけやコマンドを教えてくれる。「お座り」「待て」「伏せ」「おいで」といった基本動作を覚えさせるのが一般的。
また、無駄吠え対策として、「吠えても要求が通らない」ことを教える トレーニングをする場合もある。たとえば、吠えたら背を向けたり、犬が静かになったら報酬を与えるなど、吠えることが無意味だと学ばせる方法 を実践する訓練所もある。
しかし、これらのトレーニングは「訓練所の環境でのみ機能する」ことが多い。訓練士の指示が的確だからこそ、犬はその場ではおとなしくなるが、家に戻ると環境が違うため、すぐに元の行動に戻ってしまうことも珍しくない。
家に戻ると元に戻る理由
訓練所でのトレーニングがうまくいったとしても、家に戻るとすぐに吠え癖が再発するケースは多い。なぜか?
理由は単純で、家では訓練所のルールが適用されないから。
犬は「訓練所ではこのルールだけど、家では違うルールがある」と理解してしまうことがある。
さらに、訓練士は一貫した態度で接するが、飼い主は感情で対応が変わることがある。たとえば、「吠えたら無視する」と決めていても、実際には「うるさい!」と怒鳴ってしまうことがある。犬からすると、「さっきは無視だったのに、今日は反応してくれる!」と学習してしまい、吠えることがクセになることも。
つまり、訓練所での成功は、その後の飼い主の対応次第で維持できるかどうかが決まる。
訓練所に頼る前に考えるべきこと
訓練所がすべて悪いわけじゃない。むしろ、しつけの基本を学ぶ場としては有用。 ただし、「犬を預けるだけで問題が解決する」と思っているなら、それは大きな間違い。
訓練所を選ぶ際に大切なのは、犬に指導するだけでなく、飼い主にもちゃんと指導してくれるかどうか。
犬だけをトレーニングしても、飼い主が何も変わらなければ、結局は元通りになってしまう。
だから、もし訓練所に頼るなら、飼い主の指導もしっかりしてくれるところを選ぶべき。
さらに、単に知識を教えるだけではなく、飼い主が犬と一緒に実践できるように「練習をしっかりさせてくれる訓練所」 を選ぶのが理想的だ。
無駄吠えを減らすしつけのポイント
「吠えるときに叱るのは逆効果」という話をしたけど、じゃあ実際にはどう対応すればいいのか?
まず大前提として、犬が吠える理由をきちんと見極めることが大事。
ひとことで「吠える」といっても、犬には色んな感情がある。
・歓迎なのか? → お出迎えで喜んでいるだけなら、無駄に制止しなくてもOK。
・威嚇なのか? → 「この家を守らないと!」と思っているなら、飼い主の対応次第で悪化する。
たとえば、「ダメ!」と制止するつもりが、実は犬にとって「一緒に盛り上がる合図(お祭り)」になっている ことがある。
また、威嚇の場合も「家を守る役目を期待されている」と思って吠えているわけだから、そこで飼い主が声をかけると、「もっと頑張れ!」という応援に聞こえることがある。
つまり、吠えている最中に声をかけるのは 興奮を助長するだけ。
じゃあ、どうするのが正解か?
これは長くなるので、また別の機会に話そうと思うけど、普段から犬に「どんな立ち位置でいてほしいか」を伝えておくことが大切。
犬が「吠えなくても大丈夫」と感じる環境をつくることが、無駄吠えを減らす第一歩になる。
まとめ|飼い主がじっくりとしつけることが大切
訓練所に預けるだけでは、無駄吠えはなくならない。むしろ、家に帰って「また吠え出した!」とがっかりする人のほうが多い。
大事なのは、飼い主がしつけを理解して、じっくりと向き合うこと。 焦ってもすぐに変わるわけじゃない。毎日の積み重ねが、犬との信頼関係を築き、無駄吠えのない生活につながる。
もし訓練所に頼るなら、犬だけでなく飼い主にも指導してくれるところを選ぶことが大事。
さらに、実際に飼い主が犬と一緒にトレーニングできるよう、練習時間をしっかり取ってくれる訓練所を選ぶと、より効果が定着しやすくなる。
しつけは「1回やって終わり」じゃなくて、「習慣にする」もの。まずは今日から、犬との向き合い方を見直してみよう。飼い主が変われば、犬も必ず変わる。